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夏休のバスは部活の生徒だけになるのでいつもより格段に空いている。そのため二人がけの座席に一人で座ることが可能になるのだがいつもと同じく早苗が座ってくる。
「おはよう、昨日も弟と一緒にゲームしてて夜中まで起きてたから眠くて。」
まったくいつもと変わらない始まりだけど、今までとは違い早苗は今僕の彼女だ。
付き合ったからといって感情以外に変化はない。見た目はもちろん会話内容だっていつも通り。でも早苗のことを考える時間が増えた。
昨日のバラエティー番組の話題などで盛り上がったあと
「サーナ、今度映画見に行かない?ちょっとみたいのがあるんだ。」
「いいよ。どんな映画」
「前から見たかったホラー映画。」
「ホラーか、苦手だけどいいよ。次お互い部活休みの日がいいよね。」
「上映時間調べて連絡するよ。」
学校の最寄の停留所でおり部室まで歩くとき
「今日男子は試合だっけ?」と早苗が話しかけてきた。
「そうだよ。新体制になって初試合。」
インターハイの予選で組み合わせにも恵まれたが県でベスト4まで勝ち進んだ我が高校は練習試合の申し込みが多く本来、夏合宿の前は基礎体力向上に努めるのだが明らかに格上校からの依頼は受けるようにしたらしい。
「今年は慌しいね。ちゃんと応援してるからね。」
「出られるかわからないよ。」
「じゃあ出られるように、中沢先生に念を飛ばしとく。」
「出られなかったら怨念を飛ばしといて」
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