蒼い歩道橋

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やけに目覚めが良くて気持ち悪かった。 にしても、リアルな夢だった。視界の蒼さ、いつも見る風景、風、佇む黒い人影。 そして、腹部を刺される感覚と倒れる感覚もがとてつもなくリアルだった。 しかし、痛みと刺した相手の記憶だけがなかった。 痛みがリアルだとしたらとっくに死んでいるだろう。 そんなことを考えながらゆっくり朝食を食べていたらとあるテレビのニュースの内容が気になった。 「歩道橋で殺人事件、しかも近くじゃん物騒だなぁ」 他人事のようにつぶやいた。だが、その事件があるとなると今日は通る道は変えようと考えた。犯人は捕まっていない。本能的にそうなる。 ぼんやり授業中も今朝の夢を思い返す。 あれも確かに歩道橋だったなと。青い、蒼い。水の中のような蒼さの中で俺は死んだ。 立ってたあいつは誰だ?刺したあいつは誰だ?黒い、黒い、フードを被っていた。 思い出してみてもそこからやつは振り向かない。 「ずっとボーっとして何考えてんだよ」 お昼休み、親友と昼食を食べながらも夢の中の話しが離れなく、弁当に手がほとんどついてなかった。 「いや、歩道橋の…」 「歩道橋?ああ、そういえば今朝ニュースでやってたな。近くじゃん?物騒だな」     
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