光芒

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 曇っていて、今にも泣きそうな空。視線を上に上げてみればそういう空が目に写る。……いけない。傘、忘れちゃったなぁ。空よ、そういうわけだから、悲しくても今は泣いてくれるな、と、僕はそう思って、歩いた。  駅が近いのはいいことだと常々思う。僕の家から駅が近いというのもいいし、学校が駅から近いというのもまた、いい。立ったままで電車に乗るのは体力を消耗するので、あまりその他に苦労することがないというのは嬉しいことである。……あぁ、でもあの坂があるか。まぁでも、大した問題じゃないよ。  やっぱり地下鉄って、なんとなく嫌いだなぁ。  車内を見回してみる。同じ高校の生徒もいるけど、僕の知り合いは一人もいなかった。僕は登校するのが少し早いので、そういうことになるのだ。まぁもし仮に、知り合いがいたとして、挨拶でもするのかといえば答えはノーだ。斜に構えているというようだけど、実際そういうことができないのが僕なのである。  だからあまり、高校で友だちを作ったりだとかいうことに、まるで自信も期待も持てないでいる。  目的の駅に着き電車を降りる(着くまでに一回乗り換えをしたが、乗り換えた後の電車にも知り合いはいなかった)。……改札を通って真っ直ぐ歩いた先が一番出口。ところで、駅のそばにコンビニがあるんだけど、これもとってもいいと思う。  良かった、まだ雨は降っていない。  後はコンビニの横を通って、角を右に曲がり、横断歩道を二つ越えれば、例の坂に着く。ちらほら他の生徒の姿もある……あぁ、馬鹿、真ん中を歩くんじゃない。女子生徒が三人……朝っぱらから妙に楽しげに、坂の真ん中で話しながら歩いてる。車が通るのに生徒が邪魔だからっていうんで、クレームが来たという話を昨日か一昨日のHRで僕は担任から聞いたが……なるほどああいう人たちの話か。あれは僕と同じ一年生だろうか。高校デビューだからっていやに張り切ってはしゃいでいる人、僕のクラスにもたくさんいるし、そういう人じゃないかな。  もちろん、僕には彼女たちを注意する勇気なんてないし、それは僕でなくても同じだろう。自分の気弱さを言い訳するわけじゃないけど、大抵こういう時って、みんな見て見ないふりをするんじゃないかなぁ。
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