私が死んだのは

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 え?  あら、使者さん。ご機嫌よう。  あらあら、今日もお疲れなのね、ご苦労さま。  うふふ、そんなに上司の方は気難しいの?  まあ、そうなの。  ーー手?  あら、無意識にさすっていたのね。  大丈夫ですよ。  生きていた頃の癖ですから。  冷えると痺れるから、いつもこうしてさすっていたの。  ・・・・・・ふふ。不思議ね。  生きていた頃はあちこち痛くて大変だったけれど、今ではそれも愛おしいと感じるの。  長いこと付き合っていた身体ですものね。  苦労を共にした仲間みたいなものだったのね、きっと。  あの人との関係に似ているのかって?  まあ、うふふ。  そうね、少し、似ているかもしれないわね。  手の掛かるところがそっくり。  そこが愛おしいところもね。うふふ。
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