私が死んだのは

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 淡い光に包まれて、老夫婦が旅だってゆく。  後に残された家族は嘆き悲しみ、だけど、故人の顔に浮かぶ優しい微笑みに心を慰められていた。  その次の年から、庭の桜の木に時々番いの鳥がとまるようになった。  仲の良いその様子に、亡くなった老夫婦の姿を重ねる者もいたが、真実を知る者は誰もいない。  少なくとも、この世には。
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