四段目:【救済者】―グザイシャ―

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 翳した刀印で縦横に空を斬ると、玲一の魂魄がフワリと緩んだ。 ──今だ! 狐の耳を掴む感じをイメージし、《分霊》の要領で一気に引っ張る。  ズルズルッ、クシャッ! 不気味な音と共に、血色に染まった肉塊が、畳の上に落ちた。  これは…玲一の体の『一部』だろうか? 実体なのか、霊体なのか…金目で視ると判別が着かない。 完全に《狐霊》が同化している。 少なくとも。ボクの目には、『狐の頭』にしか視えなかった。 「これが羅刹かぁ??やけに小せぇな。」 烈火が、興味深そうに身を乗り出して呟いた。  引き抜かれた狐霊の頭部を良く見ると、首の下に、人型の黒い『塊』が張り付いている。 周囲に、何とも云えぬ悪臭が立ち込めた。 「…ぅえっ!酷でぇな、こりゃ。」  不快に顔を背ける烈火。 確かに酷い匂いだ。 胸が悪くなる。
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