四段目:【救済者】―グザイシャ―

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四段目:【救済者】―グザイシャ―

【1】恐れる。―オソレルー    ──こうして。 嫡子審議会の長い長い一日は終わった。 ボクは目出度く甲本家の当主となり、一慶達は《金の星》の四天となった。  その後の事は、あまり思い出したくない。 大人達は呑んで騒いでの、らんちき騒ぎ。 下品な笑い声や、下手なカラオケに安眠を妨害されて…ボクは、まんじりともせず一夜を明かした。  邸内に静寂が戻ったのは、東の空が白み始めた頃である。 一体どれだけ呑んだのか? 親父チームの飲みに参加しなくて、本当に良かった。  ──昼近く。 ボクの私室を、一慶が訪ねて来た。 「おーい、そろそろ行くぞ~。」 ──と。 まるで、散歩にでも出掛ける様な気楽さで声を掛けられる。 ボクは、やや呆れながら応対した。 「そんなに大声出さなくても、ちゃんと聞こえているよ。」 「嘘つけ。寝ていただろう?」  …鋭い。 実を言うと、朝食後の満腹感から気が緩んで、ほんの少し眠り込んでいたのだ。  渋々それを認めると、勝ち誇った様に顎を聳やかして、一慶は言った。 「お前さ。」  「…何?」 「ここ、涎垂れてる。」 「えっ!本当!?」 指摘され、慌てて口元を拭うと──。 「嘘。真に受けんじゃねぇよ、バーカ。」     
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