パンの場合1

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パンの場合1

 私は躁病と過食症に悩んでいた。  最初は嘔吐していたが克服しようと努力した結果、過食は治らずに嘔吐だけ止まった。  寝ている時にも夢遊病のように無意識にキッチンへ行っては何かを食べている。  買わなければいい、食べなければいい。そんな普通のことを言われたくない。出来ていたら悩んではいない。  そう言えばみんなでアニメーションを作る話だが、全然考えられない。  人に作れと言われて作ったことなんてないから。そんなことを考えながら菓子パンをかじった。  私以外の引き篭もりの連中はどうして太らないのだろうか。どう考えてもあの4人が家でトレーニングやストレッチをしているように思えない。  最低限生活のためにスーパーとかコンビニへ行ったとしても運動量は無いに等しい。だったら何故私だけがこんなにも太るのか。やはり過食のせいなんだろうけど、心を病んでからずっとこんな食生活をしているので前がどうだったかなんて忘れてしまった。  私が自虐ネタっぽく4人にデブのことを書くとやんわりと話をはぐらかされる様になってきた。  仲の良いグループではあるがこのことについては大人の対応をされる。  迷惑がられていることは分かっている。でも認めてもらいたいのだ。容姿なんてどうでもいいんだよって。  でも考えてみなかったけど、みんなだって誇れるような容姿じゃないかもしれない。そんな期待が出てきた。私だけじゃないって思いたい。  そうだ、みんなに会いたい。
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