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死んだ理由
あいつらに復讐する為だった。ただの好奇心だった。一度飛んでみたかった。などなど様々な理由があった。
我ら「天の門」の民は死んだ人間の報告書を書いて神様に提出する。その報告書を見れば見るほど面白い。人それぞれ違った理由で死んでいるからだ。
寿命で死んだ人。病気、虐待、虐め、自殺、事故、事件に巻き込まれたなど、数多の理由が存在する。
人の数だけそれがある。
この仕事をしていて思う。何を思ってここを通っていくのか、と。
門を通る一人の亡者に話を聞く事が出来た。
少女だった。高校生くらいだろう。手、額、脚に包帯を巻いていた。
「君はなにで死んだ?」
報告書に書くためにはまず聞かなければならない。
少女は言った。
『屋上からね、飛び降りたの。みんなケラケラ笑っていたわ、私が飛び降りるように急かしていたの』
「そうかい」
悲しい事はいつの時代も起こる。子供の中での虐めなんて、しょっちゅう起こっている事で、無くならない事だった。少女は虚ろな目で下を向いている。終には涙を流していた。
『もう、通っていいの?』
「いいよ。逝っておいで。君の後世に幸あれ」
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