Episode1:神隠し

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Episode1:神隠し

*Prolog*  宵月にふらり歩く者――その白ジャケットは決まって0時には帰路につく。 「こちのぉーお庭にぃー、お井戸ほれぇーば……」  機嫌よく唄を口ずさむ彼は、ぽぽんと手を叩きながら根城へと戻る。やがて、調子のずれた唄は不可解な語へと形を変えていくも、はたと止まった。  (みは)る。眼前には人一人分の幅しかない隙間から見える緩やかな川。ぽっかりと黒い影が浮かぶ水面をじっと見やれば、ぼうっと両目がぼやけてきた。 「……黒い、月?」  認めて口にした瞬間、彼は意識を手放した。
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