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「でもまぁ、無事に戻ってこれてよかったね」
「まぁねぇ……あの子、家出して隠れるためにあちこち転々としてるらしい。で、ちょうどいいねぐらを見つけたのに、ウカちゃんが邪魔だから消したって……最近の若い子は過激でおっかないねぇ」
清水原はしみじみと言い、肩を震わせた。
「でも、神通力のことを知ってたから、何かとそういう情報は持っているわけでしょ? あたしは中洲に来るまで知らなかったのに」
未だ機嫌が治らないウカちゃんの頭を撫でながら言ってみる。すると、ウカちゃんがようやく口を開いた。
「そういうのは、代々受け継がれるものだからね。信仰のある家柄なら知ってるさ」
なるほど。確かに、何か信仰している節は欠片もなかったな。だから知らなかったし、あの子は知っているんだろう。
「で、その子は今どうしてるの」
ウカちゃんが訊く。あたしと清水原は顔を見合わせた。
「うちで預かることにしたよ」
あっけらかんと言う清水原。ウカちゃんは目を細めると、頭を抱えた。
「また厄介なのを拾いやがって……」
厄介とはあたしのことも含むのか、この神様野郎。
「まぁ、従業員が増えるのはいいことやろ。つーことで、今回の代行料金は半月分の運を回しといてね」
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