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学校に着き自分の教室へ行く。クラスメイトが談笑している。いつもと同じ風景。席に着き、ショートホームルームが始まる。
「今日は美化委員に仕事があるから、残るように。それから…」
間違いない。昨日と全く同じ事を、一言一句たがわず喋っている。確信した。僕は昨日に戻ったのだ。何だこれ? まるでアニメや小説で定番のタイムスリップだ。
僕の考えなど無視して世界の時間は進む。
全ての授業が終わり放課後になった。糸井が英語で「the」のところを「a」と間違えたり、世界史の先生の森が昨日と同じチョークの色分けで黒板を書いていたのも、全く同じ。
「おい、カラオケで憂さ晴らししに行こうぜ!」
悪友の沢長が誘ってきた。昨日は一緒に言って馬鹿騒ぎして盛り上がったが、そんなものに付き合う気力は現時点でとっくに尽きていた。
「悪い、ちょい調子悪いから帰って休む。カラオケはまた別の日に誘ってくれ」
「ありゃ、ついてねぇなぁ…。まぁいいか、じゃあ俺らだけで言ってくるわ。また明日な」
「ああ、じゃあな」
沢長は他の友達に話し掛け、すぐ数人に集まり、教室を出て行った。
(僕も帰ろう…)
何もやる気力が残っていない。頭が追い付かない。何も考えず岐路についた。外は相変わらずの雨。ますます気分が憂鬱になる。ぐだぐだしてても仕方ないので、さっさと傘を広げて学校を出た。
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