1周目

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 校門を出てちょっと行った時、突然。 「きゃあああああああああああああ!!!!!」  恐ろしいほど大きい悲鳴が後ろから聞こえ、「ドン!」という鈍い音が続いた。振り向くと…。  同じ学校の女生徒が倒れていた。直後、猛スピードで僕の横の道路を車が走りすぎ、「ドシャン!」という爆発したような音を立てて電柱に正面から激突し、ようやく止まった。 (な…何だこれ!?)  僕は一瞬血が引いて吐き気をもよおしたが、何とか気力を振り絞って、倒れてる女生徒へ駆け寄った。ピクリとも動かない。振り続ける雨が無情にも彼女を濡らし、体温を奪っていく。  ええと、こういう場合は…119!  素早くスマホを取り出しダイヤルし、事故が起こり女生徒がはねられた事を伝えた。他にも住所や女生徒の状態、車はどうなったかなど聞かれ、血の気が引いた足りない頭をフル稼働させて、状況を伝えた。  通話を切る。5分ほどで救急車が来るから、その場で女生徒の面倒を頼まれた。面倒と言っても、下手には動かせない。 周囲にいた帰宅中の生徒や、騒動に気付いた人が近くに寄って来た。みんな心配そうな顔をして、幾人かは女生徒や車の運転手の状態を確認したり、二次事故を防ぐため交通の簡単な調整をしていた。  数分後。救急車と白バイが到着した。 「皆さんすみません、通報された方はいますか?」  女生徒がストレッチャーに乗せる作業が行われながら、救急員の1人が大声で周囲に呼び掛けた。 「僕です」 「彼女の知り合いかい?」 「いいえ…。制服が同じ学校なのが分かるだけで、それ以外は全く知らない人です…」 「なるほど、ありがとう。あっちで車を調べてる警官の質問に答えてたら帰っていいから。君もくれぐれも事故に気を付けて」  そういうと救急員は僕から離れて、女生徒の元へ行く。彼女のものと思われるカバンから生徒手帳を取り出し、中を見ている。身元確認のようだ。警官の1人もすぐ寄って行って、確認している。 定期的にチェックしてくれる人がいるなら、続く。
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