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街を歩いて観察していると、やはりカルヴァーナに比べてかなり大きい。
流石は王都と言うだけある。メインストリートとして使われる道幅は馬車が数台横に並んでもまだ人が歩く余裕がありそうなほどある。
道も石畳で整えられていて、これまでで一番歩きやすい。
立ち並ぶ建物もレンガから、木材まで様々な建築物が見える。
中にはガラスを用いた店も見える。
都市化が一番進んでいると言っても良い。
「そこの兄ちゃん冒険者だろ!? 武器はどうだ! あのサンドサラマンダーの角を使った剣が入荷したぜ!」
「いやいや、こっちはデザートサラマンダーの角で出来た剣が!」
冒険者の装いをしている俺たちを視界に入れると、露天商を営んでいる男達がこぞって声をかけてくる。
……サンドもデザートも砂漠って事だよな、多分。何が違うんだ?
などと考えていると今度は、道行く冒険者が前鬼と後鬼に声をかけていた。
「どうだい、良かったら僕らとパーティーを組まないか?」
金髪のサラサラヘアーの男がナンパしていた。
それを鬱陶しそうに手でシッシッとやると肩を落として去っていく。
そんな光景を数度繰り返すと、二人が両腕に抱き付いて来た。
「主様、しょーもない男が多くてかなわんわ……男避けさせてもらうで」
「私もいいですか」
そう言って左右を彼女らに陣取られる。
すると男たちが近寄ってくることはなくなったが、彼らの熱烈な嫉妬の視線が俺に集中する。
「なんであんな野郎がモテて俺がダメなんだよ!」
「くそっ! 見た事無い種族の子だけど滅茶苦茶かわいい! あの野郎、二人も侍らしやがって!」
「俺、今なら嫉妬だけで人を殺せるかもしれない」
そんな会話が後ろから聞こえる。
せめて本人に聞こえないようにしてくれよ。
「到着したよ」
いつの間にか到着していたようで、ジョエルに言われて視線を向けると、そこには大きな建物があった。
今まで建物と言えば、木製の二階立て、もしくは三階建てと言った感じだったが、目の前にある建物は、かなり上質な石で造られた、恐らく十階近くあるだろう巨大な建造物だった。
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