私はすべてを失った。

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 いつからだったか、私は自分の特異性に気が付いていた。  人よりも怪我の回復が早く、直射日光が苦手だった。 思春期の頃からは周りの友人達と比べて遥かに老いが遅くなり、20歳を超える頃には成長が止まっていた。ああ、髪が伸びたり生理現象は別として。  まあ、20代後半までは童顔という事で誤魔化せてはいたが、30を超える頃には周りの目が(いぶか)しげなものに変わっていた。このままでは両親にまで誹謗(ひぼう)が向かう気がしたのもあり、私は独り、故郷を捨てる決心をした。
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