私はすべてを失った。

15/27
前へ
/27ページ
次へ
 5年。それだけの間、私は町の人たちと一定の距離を置いて生活してきた。 すれ違いざまに挨拶をすることはあれど、立ち止まって話をする程仲の良いものは居なかった。 ましてや一緒にお茶したり出掛けたりなど…彼女としか、した事は無い。  これだけが理由と言う事は無いのかもしれない。だが、大半の理由はこれだろう。 ああ、なんという事だろうか。  なんて罰当たり。 彼女がこんな目にあっているのは誰の所為だ。こうなる前に離れる事などいくらでも出来ただろう。それなのに、何かと理由付けをしてこの町に居座り続けた。自分本位で動いた結果がこれだ。巻き込んで しまった絶望が胸の内を過る。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加