私はすべてを失った。

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 そう。最初は自分から手放したのだ。  だが、いつの間にか。気が付いた時には零れ落ちているようになった。  転換期はいつだったろうか。  故郷を離れ、遠く離れた見知らぬ土地を、再び離れた時だっただろうか。  それとも、さらに遠く離れた地で、母の訃報を聞いた時だっただろうか。  …もう思い出せないほど昔なのは確かだった。
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