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面接官はギィ、と椅子深くに腰をかけ、目を細める。
「もっとも、人々の心境が改善し、状況がよくなれば、その必要はない。
しかし改善される見込みがなければ、大陸ひとつくらい海の底に沈めるしかない……かつてのアトランティス文明のようにね。
そんな瀬戸際に産まれたがる人は少ないし、こちらとしても厳重に審査せねばならん。
さて君、今、生まれたいという動機は?」
「その瀬戸際だからこそ生まれたいのです」
「ほう?聞かせて貰おうじゃないか」
「はい」
青年は動揺する様子も見せず、面接官の目をまっすぐに見つめながら語り始める。
「僕は前世、ある国の王として生まれました。人口3000万人くらいの小さな国ではありましたが、平和で、豊かで、国民は皆、幸せそうでした」
「今から約200年前のことだね」
「はい。しかし、私はほんの些細なことをきっかけに、国民の信頼を失ってしまったのです」
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