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要人御一行が無事、帰途についた。 この国境を抜けたので、俺の任務の九割は済んだも同然だった。 後は無事、国に帰りつく事を祈るのみだ。 「ルピア、きみのお陰で無事に任務を果たせた。 お礼をさせて欲しい。 何か希望はあるか?」 「私は何もしてません。 全ては団長と、団員の皆さんの努力の賜物です。」 妙齢の女性らしくない見掛けでも、とても好ましく感じる。 俺は彼女の全てが欲しくなり、結婚を申し込む事にした。 「ルピア、このような場所で言うには相応しくないかも知れないが、きみの事が好きだ。 どうか、俺の妻になって欲しい。」 「は?突然、何を言い出すんですか? 怪我を負って血迷われましたか?」 「血迷ってはいない。 怪我する前から、好ましく思っていた。」 「そ、その好ましいは、妹などに対するものと同類だと思いますよ。 こんな、子供体型の愛想もない女、妻に望むなんてあり得ませんからね!!」 彼女の魅力は見た目ではないのだが。 「俺は妹とは思ってないが? 妹に接吻したいとか、子供を産んで欲しいとか願わないが?」 「えっ、接吻?子供? あ、あの私、その。」 「妻に望むなら、当然の気持ちだと思うが?」 「私のような子供にからかいの言葉は止して下さい。」 「からかってなどいない。 俺はルピア、きみの事が好きだ。 改めて申し込むが、結婚を考えて欲しい。」 「団長が幼女趣味とは知りませんでした」 「違う!決して幼女趣味ではない。 ルピア、きみだから好きになったんだ。」 俺は毎日愛を囁いて彼女を振り向かせよう、そう心に誓った。 愛してる。 だから、早く俺のものになってくれ。 『手当て』が目当てじゃない。 きみが傍にいてくれるだけで、俺の心は癒されてしまうのだから。 一生、共に生きてくれ。 生涯大切にしてみせる。 俺の愛しい天使、ルピア。 愛してる。
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