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エピローグ
「ルピア、走ってはいけない。
体に障る。
ああ、そんなに重いものを持ってはいけないよ。
独りの体ではないんだから、大事にしなければ。
ああ、冷えてきた。
ショールを羽織って温かくしなさい。」
「旦那様は過保護すぎます。
私は子供じゃなんですから、自分の体調は自分で管理出来ますよ。」
ルピアが25歳になり、やっと俺の嫁となった。
そして間もなく、子が宿った。
結婚するにあたり、一番困ったのが彼女の後任の文官をどうするか、だった。
又仕事の出来ない者が派遣されたならば、俺は家に帰るのもままならまい状況に陥るだろう。
かと言って、結婚後もルピアに頼りきる訳にも行かない。
そしてその悩みを解決したのも彼女だった。
ルピアの弟を呼び寄せてしまったのだ。
彼女の一族は文官の多く輩出される血筋だったらしく、やっと一人前になったばかりの弟も1ヶ月程ルピアにしごかれれば、立派に使える文官になったのだ。
憂いも解決したとあって、やっと俺の嫁になってくれる決意を固めてくれた。
そして子供のように華奢な彼女だが、意外と大きかった骨盤のお陰で産婆から無事に産める可能性が高いとのお墨付きをもらい、子供を宿したのだ。
今では俺専用だった手で自分のお腹をさすり、健康で生まれますように、と囁いている。
もうすぐ生まれ出た俺たちの子に『手当て』をし、痛いの痛いの飛んでけ~!なんてするのだろう。
こんな、平和な幸せがいつまでも続いて欲しい。
ああ、俺の気持ちは今日も癒されている。
FIN.
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