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とは思うものの、目の前の人物を眺める。
俺の胸程にも届かぬ背丈。
副団長の10歳の娘よりも女らしさのない体付き。
背中程まである栗色の髪は無造作に一つにくくってある。
そして化粧っ気のない顔は不機嫌そうにしかめられたまま、他の表情を見せる事はなかった。
「あー、この書類やってもらうかな。」
取りあえず、簡単に終わりそうな書類を彼女に渡す。
多くは望まないが、せめてこの程度の仕事は本日中に終わらせて欲しいものだ。
前任のジェシカの仕事振りはひどいものだった。
今回のように、簡単な書類を回したのだが、一向に終わらせる気配がなかった。
いつ見ても、髪や爪をいじっていたり、飲食してたりだった。
それか、騎士団員と談笑していたりで、良い家柄の団員には特に色目を使っていたようだった。
ここは仕事をする場であって、婚姻相手を物色する社交場ではないので、早々にお引き取り願う事にした。
そして、交代でやってきたのが、この愛想のない女だった。
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