ああ、憧れの相合傘

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ああ、憧れの相合傘

 彼氏居ない歴イコール年齢のまま十七歳を迎えようとしていた私にも、最近お付き合いしてくれる男子が見つかりました。  彼はひとつ上の先輩で私と同じ図書委員。クマさんみたいな見た目で普段はおっとりしているんだけれど、いざというときは頼りになる。そんなひと。  なんだけれど。  彼は柔道部にも所属していて放課後に会えるのは図書委員の仕事がある週に一度。連絡先の交換はしているけれどお互い元々口数が多いわけでもなく交際するのも初めてで何を話したらいいのかわからない。  要領がわからず戸惑っているところで休日デートを切り出すことも出来ず、私は念願の彼氏が出来たというのに消化不良というか悶々とした日々が続いていた。  金曜日。  週に一度図書委員として図書室で仕事をする日。週に一度の放課後デートの日でもある。  図書室でも彼と会えるのだからこれは実質図書室デートと呼んでもいいのではないだろうか。 「…」  うん。  知った顔ばかりの学校の図書室ではそれらしいことなんて何も出来ないんですけど。  出来ないんですけど。  図書室の中を軽く見回して肩を落とす。  彼は彼でふたりきりの時はともかく普段はほとんど表情にも行動にも出ることがなくてちょっとこちらから積極的なアプローチはかけにくい。  悪いことなど何もないはずなのに、目新しい進展が無いというだけでもどかしい。  それでも同じくらいがっついてると思われたくない自分もいることに嫌気がさして小さくため息を吐く。  視線を窓に向けると外は雨が降り始めていた。 「雨かぁ」  インドア派の私ではあるけれど、雨はやはり鬱陶しいし好きではない。湿気で髪のセットに時間がかかるしちょっとしたことですぐに眼鏡は曇るし誤って水たまりでも踏もうものならその日は一日憂鬱だ。  とはいえ放課後はいつも帰り道にある喫茶店と決まっているので、正直言って天気はあまり関係ない。  今日はもともと天気が崩れそうだと聞いていたので傘もきちんと持ってきている。道中で困ることも無いだろう。  傘…傘かぁ。
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