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「はい、ア~ン」
何という事だ。真守は両腕の骨が折れている為手が使えない。だから爽子が食事を食べさせてくれているのだ。でも恥ずかしくて真守は顔をそらしていた。
「ちょっと! ちゃんと食べないとダメでしょう」
「でも・・・」
真守が戸惑っていると爽子は優しく微笑んで、
「さすけねぇ~」
と言っていた。
爽子は毎日病院に通って看病してくれた。だから真守の願いは叶ったのである。でも本当に叶えたい気持ちが・・・と真守は洗濯物を畳みながら鼻歌を歌う爽子を見ながら思っていた。
そして真守は退院する事となった。
病院から乗って来たバスを降りた所で爽子と真守は向かい合った。もう会う理由はない。爽子が持って来れていた荷物を真守に返した。それは別れを意味する。
「はいこれ・・・」
「あ・・・ありがとう」
真守は荷物を受け取り、また沈黙の時間が流れた。
「あの」「あの」
とお互いに同時に何かを話しかけたので、また沈黙になった。でも爽子が言わないと思い、
「ありがとう毎日看病に来てくれて」
真守がそう言うと、爽子は首を振りながら
「うんううん。私が助けてもらったんだから当然だよ・・・」
「その!・・・僕と付き合ってください」
真守は爽子の話を遮るかのように入って、1番言いたい言葉を話した。爽子は少しハッとした顔をうかべた後、笑顔に戻った。
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