音連れ~君と僕の音ズレ~

3/18
前へ
/18ページ
次へ
 真守が渾身の想いでお祈りして、その後神社の社殿を見ていると、 「あっいた雀」 神社にある雀を探していた。  この神社の社殿には3羽の雀がどこかに彫られていて、もしそれを見つけたら願いが叶うと言い伝えがあるのだ。  柱や梁にも張り巡らされた彫刻。社殿の周りを見ているだけ見つけられるのもいれば、なかなか分からないのもいる。だから最後の1羽は少し奥まった所にいた。しかし、 「あれ? あそこにもいた・・・どういう事だ? 」 真守はもう一度見直した。あそこに1羽、ここに1羽、そしてあそこに1羽、で、ここにも1羽・・・4羽いる・・・。  よく分からないがとにかく3羽見つけたからきっと願いが叶うのだと思って、真守は社殿を後にした。  初詣はたくさんの人だった。家族連れ、カップル、友達のグループなど、色んな人がいた。でも真守はひとりぼっちだった。  真守が歩いていると、 トントン 「落ちましたよ」 真守は肩を叩かれ後ろを見ると、小さな子がいた。でも高校生ぐらいなのか・・・。とにかくその子は真守が落とした財布を返してくれた。  渡し終えた後も真守の顔をじっと見つめていた。 「なんですか? 」 そう真守が聞くと彼女は笑って、 「いい事あるよ~キャハハハハハ」 笑いながらその子はどこかに去って行ってしまった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加