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翌日。雨の中、真守は米沢駅にいた。
「あれ・・・爽子・・・」
真守は道路を挟んだ向こうに爽子の姿を見つけた。爽子はギターを担いで、それとは別に大きな旅行カバンも抱えていた。
爽子は腕時計に目を落とすと、焦りだし走り始めた。その時だった。爽子の左手からすごいスピードで走ってくるバイクが。
「あ・・・」
爽子も気づかなければバイクも気づかない。このままだと危ないと思った真守は思わず、爽子に突進して、吹き飛ばした。
ドーン
すると爽子は吹き飛び転んだ。そして真守の右手からバイクは横向きになりブレーキをかけながら突っ込んできた。しかし・・・
真っ白な世界が見える。その世界には黒い点が無数にあって・・
「あっ! 気が付いた! 大丈夫! 」
そう真守を呼ぶのは・・・爽子だった。
「ごめんねぇ~。私の為に・・・」
「私の・・・為・・・」
真守が気が付き、体を起こそうとすると、
「イテテテ」
となり、体は上がらない。
「ダメだよ動いちゃぁ! 」
ここは病院だ。真守は爽子を助けてバイクにはねられ、全治3か月の大けがを負った。爽子は自分を助けてケガをしたので、真守を看病したいと言ってくれているのである。でも爽子自身も真守が助けるために押して倒れる時に腕をひねってケガしてしまったらしい。でももし爽子がバイクにはねられていたら真守みたいになっていたのだろう。
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