第五話「告白」

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第五話「告白」

    1  一砥の誕生日以降、花衣と彼の関係はまたぎこちないものに変わった。  朝の短いやり取りは続いたが、お互いに目を合わせない、笑顔になれない。  そんな気まずい空気が続く中、あっと言う間に夏が過ぎて、O-Cのモデルオーディションの日が来た。  花衣はLuZの他の三人のモデルと一緒に、スタッフの運転する車で会場に向かった。  一砥も秘書の武並と共に会場入りし、関係者席からオーディションの様子を見守った。  大手モデル事務所の推薦を受けた計七十名の応募者の中から今回のショーに出演出来るのはたったの七名で、まず最初の審査員との応答審査で半数の三十五名が落とされた。  花衣とLuZのモデル二人は残り、次はO‐C側が用意した長い裾のドレスを着ての、ウォーキング審査となった。  ランウェイは実際のショーと同様に客席に向かって長く伸びた形のものがセッティングされており、モデル達は呼ばれた順に、歩きにくいドレスを着て審査員の視線が集中するその道を、たった一人で歩くのだ。  花衣は控室で一人、スレンダーなエンパイアラインのドレスを身に付けて、名前が呼ばれるのを待っていた。     
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