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「お前がそんなことを気にする必要はない。お前はただ、奴の動向、もちろん、俺たちの役に立つ動向の話を聞かせてくれたらいいんだ。そうしたら、お前を身請けしてここから出してやるからな」
「それは、いつになるのですか?」
「それは、お前の働き次第だ」
仙之助は雛菊の肩を抱き寄せると、そっと口付けた。
「やはり酒をもらおうかな」
「はい、わかりました」
本当だろうか。
この男の約束を信じていいのだろうか。
仙之助の話に全幅の信頼を置いていたわけではない。
でも、もしかしたら、本当に。
雛菊がすがれる希望はこれしかなかった。
ここを出られるのなら。
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