紅の華

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 翌朝、正太郎は身なりを整えると、雛菊に別れを告げた。 「次はいつ来てくれはるんどすか?」雛菊は、目を潤ませるようにして正太郎の顔を見上げた。 「次は、しばらくは来られないかもしれない。少し、大きな任務があるから」  雛菊は、その台詞を聞き逃さなかった。 「どんなお仕事なんどす?」  正太郎は少し考えるように黙ったが、やがて雛菊と同じ目線になるように顔を近づけた。 「(りゅう)を捕まえる仕事だ」 「龍?おとぎ話に出てくる?」 「そうだ」  正太郎はにっこり笑うと、雛菊の頭を愛おしそうに撫で、部屋を出て行った。  雛菊は正太郎の言う意味がわからず、その真意に考えを巡らせるようなことはしなかった。
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