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数日後、雛菊は店で他の女郎達が噂話をしているのを聞いた。
「またお侍さんが斬られたらしいで。しかも、場所は近江屋さんやそうや」
「嫌やわぁ、近くやないの」
「なんでも、坂本龍馬いう土佐のお方らしいで」
雛菊はその名前を聞いてハッとした。
立ち聞きとは行儀が悪いとはわかっていたが、雛菊は噂話の主に尋ねずにはいられなかった。
「なあ、そのリョウマって、どういう字書くん?」
「龍に、馬って書くらしいえ」同僚の女郎は、不思議そうな顔をしながらも教えてくれた。
雛菊は、「そう、おおきに」と言って自室に籠もった。
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