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ユウはしゃがんだままアキレスを睨んだ。
それを見ると、アキレスが嬉しそうに笑っていた。
「ははははは!どうしたのだ?また注意を逸らされてしまったようだな。『二度は使えない』と私が言ったから油断していたのかね?それとも、私が指を鳴らさなかったから、予想できなかったのかね?」
その両方だ・・。
とユウは心の中で言った。
声が出せなかったのだ。
アキレスがため息を吐いた。
「やれやれ・・。こんな初歩的な心理誘導に引っかかるようでは、私には勝てんよ」
ユウは痛みで視界がぼやけていた。
「君は最初から私の手の平の上で踊っていたに過ぎないのだ。無様にね。まあ私としては、今も、君が生きてここにいるのが不思議で仕方が無いが・・」
話を聞いている内に、ユウはイライラしてきた。
「それだけが私の誤算だ。だが、それだけだ。それ以外は全て私の予測の範囲内だ」
イライラが限界を超えた。
「いい加減に・・しろよ!!」
「なに?」
ユウは痛みをこらえながら続けた。
「さっきから聞いていれば好き放題言いやがって・・。何が『最初から私の手の平の上で踊っていたに過ぎない』・・だ!何が『予測の範囲内』だ!ふざけるな・・!お・・俺はなぁ・・。未来を決めつけるような奴が・・だ・・大嫌い・・なんだよ!!」
「な・・何だと・・?」
アキレスがまた顔をゆがめた。
「貴様は・・Bの事を・・性格が悪いと・・言っていたが・・、俺から言わせれば・・貴様も・・相当に・・性格が悪いぞ!!人の事を・・言える・・立場かぁ!!!」
「や・・やめろ・・やめろォォォォ!!!!」
アキレスが兜の中に手を入れ、両耳をふさいだ。
な・・何だ・・?
何が起こっている・・?
「やめろ!!それ以上、私を、罵倒するなァァァーー!!!!」
ま・・まさか・・。
そんな事がありうるのか・・?
奴の弱点は・・
『Abuse』(罵倒する。ののしる)事なのか・・?
そう言えば、さっき『汚い』と言った時もアキレスは顔をゆがめていた。
十分、その可能性はある!
ユウは立ち上がった。
そして、ありったけの汚い言葉を考えた。
だが、困った・・。
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