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ケントルムの夜 Unanticipated~思いがけない
「恐ろしい・・秘密?」
ジニアが少し震えながら言った。
「それは一体・・?」
「分からないが、野盗達が消されたレーザーと何か関係がある事は間違いないだろう」
「それで、これからどうするんだユウ?」
カイが尋ねた。
「今日はこの町の宿に泊まろう。宿で今後の相談だ」
「あいよ」
夜になり、4人はケントルムの宿に向かった。
今まで街道の宿ではずっと一部屋しか取らなかった。
それは、他の旅人に配慮しての事だ。
だが、ここには宿がたくさんある。
なので二部屋取る事にした。
割り振りはユウとジニア、リクとカイである。
ユウの部屋に4人が集まった。
この部屋にはベッドが二つ、テレビ、そして、外の景色を座って見るためなのか、簡易的な丸い椅子が二つ窓際に置いてあった。
今4人は円になっている。
ユウとジニアは自分のベッドに座り、
リクとカイは先ほどの丸い椅子を持ってきて座っている。
リクが窓際、カイが入り口のドア側である。
「それで、どうするんだユウ」
カイがまた尋ねた。
「正直に言おう。この大陸では争いや犯罪はご法度だ。だから、この大陸には組織の連中もやって来ない」
「だから?」
「ジニアはノルデンに行くよりも、ここにいた方が安全なのでは?と思った。さっきまではな・・」
「さっき・・まで?」
ジニアが尋ねた。
「ああ。あの塔を見るまではね。けど、あの塔を見て思った。あれは危険すぎる。あんな危険な物がある場所にジニアを置いてはいけない」
「それじゃあ・・」
「当初の予定通り、俺達はノルデンを目指す。だがノルデンに行く方法が見つからない」
「あ、ちょっと良いかな?」
「どうしたジニア?」
「リクとカイの故郷って、このセントラル大陸にあるんだよね?」
「そうだけど、それがどうしたんだいジニアちゃん?」
「行ってみたいなって思って。ノルデンへ行く方法を探すついでにさ」
「残念。それは出来ないんだな」
「え、どうして?」
「俺の故郷は『ラント』、カイの故郷は『ラウト』なんだ。つまり・・」
「結局、あの検問の場所を通らなくちゃならないって訳ね・・」
「そういう事さ。それに・・」
「それに?」
「もし行けたとしても、俺は帰りたくない」
「俺もだ」
リクの言葉に、カイも賛成した。
「もしかして、戦争が起こるかも知れないから?」
「そうだな。それもある」
「そう言えば2人とも家族はどうしてるの?」
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