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「くそっ!だが、ラントとラウトが戦争しそうになっているのは、もとはと言えば俺のおやじが・・!」
「『俺の』じゃない。『俺達の』だろ?お前にだけ罪は背負わせね~よ」
「俺達はどうすれば良いんだ、リク?2人の争いを止める事も出来ない」
「カイ・・」
「弱いな・・。俺達は・・」
「ああ・・」
「いっそ、ユウに相談してみるか?」
「それは・・駄目だ!」
「ユウは元王女のジニアと旅をしているんだ。俺達の正体を知ったぐらいで、何が変わる訳でも無いと思うが?」
「多分・・、そうなんだろうな・・。だけど・・俺は・・まだ・・」
「言う決心がつかない・・か?」
「ああ・・」
「まあ、お前の判断に任せるさ。けど2人が離れるのがそんなに怖いのか?」
「・・・」
(離れられるのが怖いのは)
(俺の方なんだぞ、リク・・!)
ユウとジニアは外に出た。
そして、塔のある方向を見た瞬間・・。
「な・・!?」
「うそ・・」
昼は不気味に聳え立っていた塔が、夜はキレイにライトアップされていた。
赤、橙、黄、緑、水色、青、紫と、次々に色が変化していく。
まるで虹を見ているような気分になった。
周りを見渡すと、このライトアップを見に来た人がたくさんいた。
家族連れもいるようだが、カップルがほとんどの様だ。
「キレイ・・」
「ああ・・。これじゃあ、一般人はこの塔の存在を不思議がる事も無いだろうな・・」
ジニアがユウの右腕に自分の腕を絡めて来た。
ユウはドキッとしてジニアを見たが、ジニアは塔を見つめたままだ。
もしかしたら、無意識でやっているのかもしれない。
心臓の音が・・こんなにも大きく・・。
体が・・熱い・・。
これが・・
これが恋なのか・・?
だが・・俺は・・
俺はジニアを・・
ジニアを殺そうとしたのに・・!
ジニア・・
君は・・俺を・・
俺を・・許して・・くれるのか・・?
「キレイだよね、ユ・・」
ジニアがユウの方を向くと、ユウの異常に気づいた。
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