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「そりゃお前、そのまま帰したりすりゃ、俺達の身が危なくなるんでな。永久に言葉が話せないようにしてやったよ!げしゃしゃしゃ!!」
寅が下品な笑い声を出すと、ユウの体が熱くなった。
「もう良い・・。ゲスが・・」
ユウは声色を変えるのを忘れるほど、心の中が怒りで煮えくり返っていた。
「あ?何だ?」
寅は、異常を敏感に感じ取った。
「お前、急に声が・・。まさか、じじいじゃねえのか?」
「ああそうだ!有難く思え。貴様が本当の俺の姿を見る依頼人第一号だ!」
ユウは変装を解いた。正体がばれようが問題は無い。
どうせ生きてここからは出られないのだから・・。
「ぷ・・っくくく・・。はははは!!!」
寅はユウの姿を見て笑い出した。
周りの連中も、腹を押さえながら転げまわったり、テーブルを叩いて大爆笑していた。
「・・何がおかしい?」
寅はしばらく笑い続けていたせいで、息が苦しそうだ。
「だ・・だってよお・・がはは!『不可避の暗殺者』だぜ?ひゃはは!すげえごっつい奴を想像していたのに・・、こんなガキだったんだからよお・・だはは!笑うなって方が無理だ!ぎゃははは!!」
!!!!!!
ユウはある一言に敏感に反応した。
「・・おい、貴様」
「はは!あ?何だ」
「俺は・・嫌いな事が・・たくさんあるんだがな・・。そのうちのベスト5を教えてやるよ・・」
「おう!言ってみな!お兄さんが聞いてやるからよ」
「・・良い度胸だ」
ユウの体内で力が蓄えられていく。
「嘘・・、裏切り・・、弱い物いじめ・・、ターゲット以外を始末する事。この4つは、特に順位が決まっていない。そして・・、ダントツで嫌いな事・・第1位は・・」
ユウがカッと目を開き、殺気を放った。その瞬間、部屋が静まり返った。
「第1位は・・、ガキだと言われる事だぁーーー!!!!」
その瞬間、その酒場は地獄絵図と化した・・。
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