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「その程度の事を、俺達が一々気にすると思ったのか?」
「思わなかったよ!俺は、お前達を信じていたからな!!・・けど」
「けど?」
「俺は、俺自身が信じられなかった・・。『お前達を信じている自分自身』が信じられなかったんだ・・!!」
「リク・・」
「意外と繊細だろ?色々ふざけたりして何とかしようとしたけど、やっぱり駄目だった」
「やれやれ・・。お前、以前俺に何て言ったか忘れているんじゃないのか?」
「えっ?」
「お前は俺に、『お前が何者だろうと関係ない』って言ったんだぞ?」
「あ・・」
「その言葉、そっくりそのままお返ししてやるよ。『お前が何者だろうと関係ない』。お前が一般人だろうが一国の王子だろうが・・ね。俺にとってはリクはリクだし、カイはカイなんだ」
「ユ・・ユウ・・」
リクの目から涙があふれて来た。
「あ・・ありがとよ・・」
「気にするな」
「よ・・よっしゃ!!じゃあ、お前に相談したい事があるんだが、良いか?」
「ああ。何でもどうぞ」
「実はな、ラントとラウトが戦争をしそうになっている原因は、俺の親父と、カイの親父の兄弟喧嘩なんだ」
「何?兄弟?じゃあお前とカイはいとこか?」
「そうだ」
「だが、何故2人が喧嘩を・・?」
「・・非常に言いにくい事なのだが、俺の親父が、カイの親父のフィアンセを横取りしてな・・。で、そのカイの親父の元フィアンセが、俺の母って事だ」
「何だって!?カイはそれを知っているのか」
「もちろんだ。俺達の間で隠し事は無しだからな」
「お前は、何故それを知ったんだ?」
「たまたま聞いてしまったんだよ。親父とカイの親父の会話をな。あれは3年前だった。母が死んだ時に、カイの親父も葬式に来てくれてな。その時に親父が、『昔みたいに仲良くしよう』みたいな事を言ったんだ。そしたらカイの親父が、『俺のフィアンセを奪った癖に、良くそんな事が言えるな!』って言ってた」
「それで?他には?」
「その事がショックでほとんど聞いてなかったけど、カイの親父が『そんなの信じられるか!』とか言っていたな・・」
「ふうむ・・」
「それで、その事をすぐにカイに言ったんだ。これが原因で俺達の関係も悪くなるかもしれなかったけど、隠し事をするよりはずっとましだった。俺達の間で隠し事は禁止してたからな」
「それでカイは何て?」
「いや、特に何も。反応が無さ過ぎて、逆に怖かったのを覚えているよ」
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