新たな契約 Unanimity~満場一致

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「ノルデンを実質的に支配しているセヴェル公爵とは昵懇の間柄なの。まあ、元国王一家が、ね。私自身は会った事も無いけど」 「じゃあ何故、そんな事を知っているんだ?」 「当然でしょ?王女になってから大臣から色々仕込まれたの。他人に成りすますって、とても大変だって分かったわ。王女本人の事だけじゃ無く、周りの人間関係まで把握しなくちゃならないのだから」 「その事は俺も良く分かる。それで?」 「ノルデンには他の国とは比較にならない程の情報が集まってくるらしいの。だからセヴェル公爵に頼めば、ユウが属していた組織の事も調べられると思って・・」 「それは絶対に無理だ」 「どうして?」 「俺達の組織の存在が、一般社会に知られる事は絶対に無い。現に国王一家を暗殺したのも俺達の組織だが、世間では組織の断片すら、まるで見えていないじゃないか」 「え~!?そうだったの?!」 「あ・・」 ユウはうっかり口を滑らせてしまった。 「その話、詳しく教えてよ!」 「済まない。この事はいずれ纏めて話すから・・。俺も一度、頭の中を整理しないと、うまく説明できそうに無い」 「分かった。約束だよ」 「ああ。約束だ」 ユウは、この事はいずれ話すつもりだった。 というより、話さなければならないと思っていたのだ。 過去の嫌な記憶を忘れぬよう・・。 そして、嫌な記憶からもう逃げないために・・。 「じゃあ私も、正直に言うね。まあ、さっきの話も嘘では無いけど、ノルデンに行きたい本当の理由は、セヴェル公爵に助けを求めたいからなの。」 「なるほど。ノルデンは、世界一発展している国だと聞く。ノルデンならば、組織の連中でも簡単に入りこめないだろうと考えている訳だな?」 「当たり!まあ、そういう訳で、私をノルデンまで護衛して欲しいの」 「護衛・・?」 ユウは首を振った。 「悪いな。護衛任務は俺の仕事じゃ無い。君を始末しようとした事の詫びもしたいから、君の事を助けたいのは山々だが・・」 「う~ん・・。じゃあさ、こういうのはどう?」 ジニアが人差し指を上げた。 「私がノルデンに向かうまでに、私の命を狙う全ての者を始末してもらいたいの。これならどう?」 「ふ・・。物は言いようだな」 ジニアの命を狙ってくる奴は、ユウ自身の命も狙ってくる可能性が高い。 ならば、別に始末しても構わないだろう。 「良いだろう。交渉成立だ」 「やった!」 2人は再び握手を交わした。
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