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守るべきものと守れなかったもの Umbrella~保護する力
ユウにジニアの暗殺を依頼した男と、伯爵は繋がっている。
ユウはこの考えに確信を持った。
まだユウもジニアも殺されていないので、また刺客が現れるだろう。
だが、そいつらを倒し、必ず2人を見つけ出してやる!
「お待たせ!」
ユウが気合を入れている時に、ジニアが王宮から出て来た。
ジニアの後ろに、大臣とその部下達がついて来ていた。
ジニアは、上は白のチュニックワンピース、下は茶色のサブリナパンツ、赤のブーツを履いていた。
戦いにも参加できそうな身軽な恰好である。
ダイヤのクラウン、イヤリング、ネックレスは外していた。
代わりに、首元にアメジストのネックレスを着けている。
ジニアはユウの視線が、ネックレスに向いている事に気づいて言った。
「これ、私のお気に入りなの。アメジスト。私の髪と同じ色だから」
ジニアは髪型をポニーテールにしていた。
「あのダイヤの装飾品は、王家の後継者が代々身に着けている物なの。王女を辞めた私には、身に着ける権利が無いって訳。残念だけどね」
ジニアはそう言っているが、あまり残念そうでは無かった。
「それじゃあ、行ってきます。じい、皆」
ジニアは大臣達の方を向いて言った。
「お気をつけて。ご無事で戻られる日をお待ちしております」
こうして、ユウとジニアの旅が始まった。
2人が街道を歩き始めてしばらくしてから、ジニアが言った。
「そう言えば、ありがとねユウ。あの手紙」
「手紙?」
「うん。新市街の女性達の遺体のある場所が書かれた手紙の事。あれ、ユウが送ってくれたんでしょ?」
「何で俺だと分かった?」
「ふふ~ん。これよ、これ」
ジニアは上着の中から台本を出した。
「台本?何故そんな所に?」
「刃物で刺された時に、貫通しないで済むかなと思って」
「冗談だろ・・?」
台本は約40ページだった。
厚さなど高が知れている。
「あながち冗談でも無いけどね。まあ、野宿した時に焚火の足しにしても良いし、どこかの図書館に寄付しても良いし、本屋に売っても良いし・・」
「・・それはまあ置いておいて、手紙を送ったのが俺だと分かった理由がその台本とは、一体どういう事だ?」
「だって、この台本に書かれた事をユウがしていたのでしょ?この中に、『旧市街で情報を得た』事が書かれてた。だからその時に、遺体のある場所が分かるような情報が聞けたんじゃないかなって」
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