明かされる『闇』の真実 Utopian~非現実的

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⑤以上の4つの掟に従わぬ場合、組織の毒が体中に充満し、やがてその身を滅ぼすであろう。 これらの掟はより強い暗殺者を作るためであり、組織を裏切った者への制裁でもある。何故死ぬ時にも毒が活動を開始するかと言うと、お前の身体の中にはすでに組織の情報が多く入っているからだ。生きていれば何の問題も無いが、死んだ場合はお前の身体が解剖され、組織の情報を奪われる可能性がある。だからこそ、お前の体内の組織が死に始めると同時に毒も活動を開始して、お前が完全に死んだ時には、毒によってお前の身体も完全に溶けている状態となっているのだ。ゆめゆめ、この事を忘れぬように』」 ジニアは震えた。 「こ・・怖い・・」 「こうして、俺は暗殺者ユウとなった。そしてその後、2人ないし3人ずつに分かれ、それぞれ依頼を受けた。依頼を受けた連中は、それぞれ別の魔法陣から色々な場所に転送されていった。そう言う訳だから、組織のアジトがどこにあるのか、全く分からないんだ」 「アジトに戻る時はどうしてたの?」 「同じように魔法陣さ。自分で書いてそれに乗れば、すぐに戻る事が出来た」 「それってどんな形の魔法陣なの?」 「それなんだが・・」 ユウは腕を組んだ。 「どうも組織から抜けると、その記憶が消えてしまうらしいんだ。円の中に、何らかの文字か絵図を書けば良いのだが、それがまるで思い出せない」 「そうなんだ、残念。あ、そう言えば。ユウは魔法陣を使った時が初めて外の世界に出た時なんだよね?どんな気分だった?」 「不思議な気分だったよ。太陽の輝き。風が運んでくる匂い。雨の冷たさ。今まで感じてきたのは所詮、人工の物でしか無かった。やっぱり本物は違うなって思ったよ」 「う~ん・・。改めて、何だか色々大変だったんだなって思うわ・・。ユウはどうして、そんな組織に居続けようとしたの?」 「最初に運営の男が、『私が望む暗殺者とは、ターゲット以外は決して殺さないクリーンな暗殺者だ』と言ったからさ。俺はその考えに共感した。だからあの組織に居続けたんだ」 「それが、どうして抜ける事になったの?」 「その考えが嘘だと分かったからだ」 「いつ?」 ユウは右手のこぶしを握り締め、そのこぶしを見つめながら言った。 「王女が殺された時さ・・」
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