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「言ったろ?俺にとってはおもしろいと。君がおもしろいかどうかは知らん」
「そんな~・・。ずるいよお兄ちゃん・・」
「ずるい?何がずるいんだ?」
「だって・・、お兄ちゃんだけ楽しそうで・・」
「楽しそう?ふむ」
俺が急に黙りこくったのを見て、その子は不安になったようだ。
「ど・・どうしたの・・お兄ちゃん?」
「なあ」
「は・・はい!」
「もしかして、暇なのか?」
「う・・!」
「遊び相手、いないのか?」
「うう・・!!」
「友達、いないのか?」
「ううう・・」
見る見る内に、その子の表情が曇っていった。
今にも泣き出しそうな顔だったよ。
放っておけば良い物を・・。
俺はその顔を見ると、こう言い出さざるを得なかった・・。
「俺で良ければ遊んでやるぞ?」
「ほ・・ほんとに?!」
その子の顔がパッと明るくなった。
「ああ。まあずっとって訳にもいかないがな。俺にも用事があるし」
「あ・・ありがとうお兄ちゃん!!」
それから俺はしばらくの間、その子と遊んだよ。
しりとり、あやとり、クイズ、手品・・。
そんなちっぽけな遊びばかりだったけど、その子はすごく楽しそうだった。
そして何故か・・俺も楽しかったんだ・・。
楽しい時間って言うのは、あっという間に過ぎていくんだな。
気づいた時は夕暮れ時になっていたよ。
俺は立ち上がった。
「そろそろ時間だ。君も家に帰るんだな」
「う・・うん」
俺は丘を下りて行こうとした。
けど、その子の方を振り返ってこう言ったんだ。
「なあ」
「え?」
「もし、明日も同じ時間にここに来たら、また遊んでやっても良い」
「ほ・・本当に・・?」
「ああ。まあ3、4日の間はここにいるからな。ただし、遅刻厳禁だぞ」
「う・・・うん!!絶対、絶対に来るよ!またねお兄ちゃん!!」
俺はその子の方を振り返らずに手を振った。
俺は、その日は夜に行動しようと決めていた。
まずは、闇夜に紛れて屋敷の庭に侵入した。
木の所から庭の全景は確認済みだから、どこにいれば発見されないかとかも全て把握済みだった。
王が連れて来た兵士の人数は、100人だった。
だが、100人全員が見張りをしている訳じゃ無かった。
見張りは交代で行われ、休憩中の兵士を除けば、残りの兵士は私服で町内をパトロールだ。
見張りの人数と場所、そして家の中にいる大まかな人数を確認して、その日は終える事にした。
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