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王の行動を調べていると、部屋にしばらくの間、1人で籠っている事があった。
もし、この行動が明日もあるようなら、このタイミングに暗殺する事を考えた方がよさそうだ。
この理由は使用人には分からなかった。
ならば、あの兵士はどうだと思っている矢先、帰り道でその兵士に声をかけられた。
今日も酒を奢ってやると(当然俺は酒を飲んでいない。これ重要)、兵士はもう俺に心を許したみたいだ。
俺の質問に対して、ペラペラと答えてくれたよ。
王がアナトレー卿を訪ねたのは、アナトレー卿の弟に伯爵の調査を依頼するためだった。
アナトレー卿の弟は探偵をやっている。
しかも名探偵として有名らしい。
名探偵だからと言って、
『犯人はこの中にいる!』
とか、
『真実はいつも一つ!』
とかやっている連中とは違うぞ。
『人物調査のスペシャリスト』というだけの事だ。
だが、そんな有名な弟を直接訪ねると伯爵にバレる恐れがある。
だから兄貴を通して伯爵の身辺調査を依頼した、という訳だ。
何故、伯爵の身辺調査を依頼したかと言うと、王の耳に伯爵の怪しい噂が入ってきたからだ。
それは、怪しい連中と付き合いがあり、何かを企んでいるという事だ。
その噂が本当ならば、王の遺言書に書いてある、『王の後継第2位は伯爵』というのを書き換えなければならない。
だが、伯爵は王の実弟だ。
できれば穏便に事を済ませたかったのだろう。
だから表向きは『お忍びの視察』という形を取った。
お忍びなら100人も護衛は必要無いだろうと思うが、護衛が少なすぎると逆に怪しまれる。
だから100人の護衛とは、多からず少なからずのぎりぎりの人数だ、という事だった。
ちなみに、その100人の兵士もアナトレー家で寝泊まりしているとの事だ。
とてつもなく広い屋敷だ。
『100人泊っても大丈夫!』と、その兵士が言っていた。
この事はどうでも良かったが、今日は俺にとって有益な情報が入った。
あのトランプ占いも捨てたものじゃ無いな。
あ。
王が何故部屋に籠っているのか、訊くの忘れた。
4日目。
この日、アナトレー家に侵入者があった。
当然、俺の事じゃない。
そのせいで警備が厳しくなってしまった。
侵入者は捕らえられたが、何と兵士が警察に護送中、逃げられたらしい。
もしかして、逃げるためにわざと捕まったんじゃ無いのか・・?
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