ほのかな恋心 Unadulterated~純粋な

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「本当ですか?ありがとうございます、お兄様!」 「お・・お兄様!?あっと・・。お兄様は、その・・勘弁してくれ・・」 「そうですか・・。では、お兄ちゃんならば、よろしいですか?」 「まあ、それならいつも通りだからな」 「わ・・分かりました・・!では、お兄ちゃん・・」 「何だ?」 「わ・・わた・・わたくし・・」 その子がもじもじしている。 俺はその子をじっと見た。 今まで気が付かなかったのが不思議なくらい、かわいい顔をしている。 そして、いつもそうだったが、今日はいつも以上に服装にも気合を入れているようだ。 この言葉遣いと、この恰好・・。 もしかすると・・。 貴族の娘なのかも知れない・・。 「だ・・だ・・だ・・」 「だ・・?」 その子は目を閉じた。 そして大声で叫んだ。 「お兄ちゃんの事が、大好きです!!!!」 『だ』から始めたのに、『お兄ちゃん』と言った。 普通は『だ』から始めたのなら、『大好き』から言わないか・・? 何故かその時、俺は冷静にそんな事を考えていた・・。 「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」 その子は息が苦しそうだ。 俺はその子の心配をした。 「大丈夫か?」 「だ・・大丈夫な訳が・・ありません!!」 「何で?」 「と・・年頃の娘が・・勇気を振り絞って・・自分の想いを伝えたのです!!大丈夫な訳が、ありませんわ!!」 「そ・・そうか・・」 「ですから・・、お兄ちゃん・・」 「な・・何だ?」 「お兄ちゃんの気持ちを聞かせてください!わたくしの事、どうお思いになっていらっしゃいますか?」 「ええ?」 俺はその子をまじまじと見た。 困った表情で、俯き加減にしている。 しかも、顔を赤らめている。 そこにいるのは、1人の『少女』ではない! 恋する1人の『乙女』だったのだ! いくら世事に疎い俺でも、そのくらいの事は分かる! というかよくよく考えると、すでに告白しているのだから分かって当然か・・。 やばい。 今、俺は混乱している。
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