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俺は言葉を失った。
それを見ると、Bがからからと笑った。
「にしても、まだそんな事を本気で信じている奴がいるとは、お笑い種だぜ!良いか?俺達は殺し屋なんだぜ?人間を殺すのが俺達の仕事だ。なのに、ターゲットがどうのこうのと言っていられると思うか?そんなのはただの綺麗事なんだよ。全く、これだから新人はよお・・」
俺は言葉が出てこなかった。
それをBは落ち着いたのだと勘違いしたようだ。
「ようやく落ち着いたか?じゃあそろそろ俺の話も聞けるな。建物が爆発してるっていうのに、周りの人間が騒いでいないのが妙だと思ったろ?これは俺の能力で、『Ban』(呪詛)って奴を使った。これが効くのは戦う力・・まあこの場合は魔力だな。魔力がほとんど無い弱い人間だけだ。これを受けた者は、一時的に五感を全て失う。だから、この付近の連中は俺の呪詛を受けて、家の中でぶっ倒れているって訳さ」
俺は自分の身体が震えているのを感じた・・。
「ああでも、1人だけこの屋敷に向かって走ってきやがったチビが居たっけ・・」
まさか
あの子か・・?
「けど下級暗殺者に気づかれて、大急ぎで今来た道を回れ右していったがな。あの足じゃあ、今頃下級暗殺者に追いつかれて斬り刻まれているだろうな。そう言えばお前、途中で出会わなかったか?」
あの子が
この屋敷に・・?
「おい、聞いてんのか?・・ち。にしても、あんなチビにも俺の呪詛が効かないなんざ、やっぱりこの能力は使えねえな」
助けて・・!
お兄ちゃん!!
また・・そう言われた気がした・・。
そして・・。
俺の中で何かが音を立てて切れた。
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
「な・・なんだ!?」
俺は右手に短剣を持つと、Bの腕の筋を切った。
「ぐわあああああ!!??」
Bが腕を押さえてうずくまった。
その間に、俺は待機状態の下級暗殺者を次々に仕留めていった。
下級暗殺者にとって俺は味方だったから、何の抵抗もしなかった。
そして元の場所に戻ってくると、今度はうずくまっているBの顔に回し蹴りした。
「がはっ!!」
Bは吹っ飛んで仰向けに倒れた。
仰向けに倒れた瞬間、心臓の付近を思い切り踏みつけた。
「ごふっ!!テ・・テメエ・・」
Bが俺を見上げている。
俺は踏みつけている足に力を入れた。
Bは苦悶の表情を見せた。
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