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追跡者2 Achilles&Hector
「・・来た」
「え?」
ユウは天井を見つめている。
「まさか、ユウ・・」
「ああ。組織の連中だ。屋根にいる。数は、下級暗殺者が12体・・か。今度は一気に倒せないかもな」
「分かるの?」
「足音でね」
「それで、どうするの?」
「とりあえず、これを・・」
ユウはジニアに何かを渡した。
それは、腕輪に紐が巻かれており、その紐の先端に円盤みたいなのがついている。
「何、これ?」
「俺が開発した、『ヨーヨー型スタンガン』だ」
「ヨーヨー型スタンガン?」
「そうだ」
「どうして、こんな物を?」
「ヤハウェと戦っている時に閃いたんだ。ジニアが下級暗殺者に襲われた時、どうしたら一番身を守りやすいか考えていてね」
「それで?」
「最も安全なのは下級暗殺者に近づかれない事だ。ならば、飛び道具で攻撃するのが一番良いと考えた」
「これの使い方は?」
「まず、腕輪を利き手とは反対の手に着ける」
ジニアは腕輪を右手に着けた。
「着けたよ!それから?」
「左利きだったのか。まあ良い。次に円盤を利き手で持てるまで、腕輪に巻かれている紐を伸ばす」
「なるほど・・」
ジニアは円盤を左手に持ち、投げる構えを見せた。
「これで良いのね?」
「ああ。それで円盤の部分は、投げると腕輪の所に戻ってくる。でも、腕輪に戻る前に、右手でキャッチする事ができる訳だ」
「これじゃあただのヨーヨーで、スタンガンの特色がまるで無いけど・・」
「腕輪に赤いボタンが付いているだろう?」
ジニアが腕輪を見ると、腕時計で言う、文字盤がある場所に赤いボタンがあった。
「これは?」
「そのボタンを押すと円盤の部分に電流が流れる。つまり円盤を投げてから、円盤が敵に当たった瞬間とか、当たる少し前とかにボタンを押し続けておけば・・」
「敵に当たった時に電流が流れるって訳ね」
「その通りだ」
「すごい!こんなのいつ作ったの?」
「旅に出る前に、一度ケレトにある俺の家に戻っただろ?あの時に・・な」
「ありがとうユウ」
「お礼を言うのはまだ早い。間違っても、腕輪のボタンを押している最中に、円盤を握らないようにしろよ?円盤の電流を自分が受けてしまうからな。もっとも、受けても死にはしないだろうがね」
「ええ、分かったわ」
「まあ、君が襲われないようにするのが俺の役目だからな。とりあえずはお守り替わりだと思ってくれ」
「うん」
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