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ユウが屋根から下を覗くと、下級暗殺者の一体がジャンプして、ジニアのいる部屋に入った所だった。
「くそ!俺も・・・」
「おいおい、敵前逃亡は良く無いなぁ・・。僕達もいるって事、忘れないでよね」
ユウもジニアの部屋に飛び下りようとした時、アキレスとへクトルが近づいて来ていた。
「彼女を助けたくば我々を倒す事だな、ユウ君」
「そういう事だよ」
「く・・。仕方が無い・・」
ユウは覚悟を決めた。
「・・どちらから来るんだ?」
「私から行こう」
アキレスが言った。
「へクトル。私達が戦っている間に、彼女に手を出すなよ」
「え?彼女はもう、下級暗殺者に殺されちゃってるんじゃないの?」
「それはどうかな。ユウ君の落ち着きようを見たまえ。あれは多分、何かの対策を授けたのだと思うね」
「ふぅん・・。まぁ、そうだとしてもご心配なく。こう見えても僕はハンサムだからね。そんな無粋な真似は絶対にしないよ」
「ふん。自分で自分の事をハンサムなどと・・」
ユウが鼻で笑うと、へクトルがまた髪をかき上げて言った。
「ユウ、それは違うよ?」
「何が違うんだ?」
「確かに僕はハンサムだけど、今言ったハンサムは違う意味だよ。『Handsome』には(寛大な)っていう意味もある。よく覚えておくと良いよ」
「本当に寛大な心を持っているんだな。わざわざそんな事を教えてくれるんだからな」
「ありがとう」
その時、アキレスがユウに向き合った。
「それでは始めようか」
「・・良いだろう」
2人は向かい合うと、同時に左手を挙げた。
ジニアがユウの言った通り、入り口のドアを背にして窓を見ている時、下級暗殺者が一体入って来た。
(うわ!)
(来た!!)
下級暗殺者は、ジニアを怪しく光る眼で睨んでいる。
(くう~~~・・)
(対峙すると、やっぱり怖いなぁ・・)
ジニアは姿勢を低くして、ヨーヨー型スタンガンを構えた。
下級暗殺者は、動くタイミングを見計らっているようだ。
(早く早く早く~~~!)
(早く動いてよ~!!)
下級暗殺者が動き出した。
ジニアはヤケクソになってヨーヨーを投げた。
カン!という金属音が鳴った。
どこかに当たったという事だ。
(今だ!)
ジニアは赤いボタンを押した。
下級暗殺者に電流が走った。
その間も、ヨーヨーは下級暗殺者の身体の周りを回っていた。
そして、下級暗殺者が仰向けに倒れた。
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