能力者同士の戦い2 U vs Achilles 

2/7
109人が本棚に入れています
本棚に追加
/1044ページ
「もちろん『あの方』だよ。名前を与えられる基準は、ある一定の期間『あの方』に忠誠を誓った者に限られる。君はその期間が足りなかったのだ」 「名前など必要ない」 「そうか。まあ良い。他に訊きたい事はあるかね?」 「ああ。俺のいる場所が分かるのは、そのテレパシーとやらの所為なんだな?」 「その通り。君も薄々感づいていただろう?我々の接近を。それは君自身が、我々のテレパシーを感じ取っていたからなのだ」 「だが妙だな・・。確かにお前達が接近してきたのは何となく分かったが、クセノフォンとヤハウェは目の前にいたのにも関わらず気づかなかった」 「それはおそらく、その2人が何か特殊な物を身に着けていたからだろう。例えばテレパシーを外に出さない鎧とかね」 「なるほど・・。確かに奴らは鎧を着ていた。それで分かったよ。だが、まだ分からない事がある」 「ほう。それは何だね?」 「俺の居場所が分かっているのに、何故俺が組織を抜けた後、半年以上放って置かれたんだ?」 「それは皆、別の任務をこなしていたからだよ。遂行中の任務を途中で投げ出す事など、我々には許されない」 「そうか。では、クセノフォン達やお前達は、その任務を終えたから俺を殺しに来たと言う訳か」 「そういう事だ。まあ、私は少し事情が違うがね」 「なに?」 「気にするな。大した事じゃ無い。ああ、そう言えば・・」 アキレスが少し横に動いた。 ユウの目も、その動きを追った。 「先ほどは済まなかったね。君の彼女に下級暗殺者を向かわせるような真似をして。君の素早さがどの程度か調べておきたかったのでね」 「彼女だと?」 「違うのかね?」 「違う。まあ、そうだったら嬉しい事だがな。だが、そんな事は絶対にありえない」 「何故だね?」 「・・暗殺者の俺が、彼女を幸せにする事など出来ない」 「そうかね。だが、大切な人なのだろう?」 「ああ。大切だ」 「くくく・・。正直なのだな」 「嘘は嫌いなんでね」 「嘘は嫌いか・・。では、私も正直に言おう。君のあの動きは半端な速さでは無い。あの状況で下級暗殺者が一体しか残らないとは、よもや思っていなかった」 「それで?」 「君とスピード勝負をするのは馬鹿らしいと悟ったのだ。では、長くなってしまったが、そろそろ始めるとするかね」 「意外だったよ。良くしゃべるんだな」 「これは失礼。私の癖でね」 「癖だと?」
/1044ページ

最初のコメントを投稿しよう!