ケントルムの夜 Unanticipated~思いがけない

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「俺もカイも兄弟はいない。母は死んだ。いるのは・・父親だけさ・・」 「お父さんには会わなくても良いの?」 「なんでだ?」 リクの言葉が少しきつくなった。 表情も険しくなっている。 「なんで俺がおやじに会わなくちゃならない?」 「え・・、だって心配じゃないのかなって・・」 「ふん・・。あんなおやじの事など、誰か心配するか!」 「リク!!」 「あ・・」 カイの言葉に、リクは我に返った。 「ユウもジニアも家族がいないんだ。少しは配慮したらどうだ?」 「す・・済まない・・、ユウ、ジニアちゃん」 「いや、別に」 「気にしないで」 ユウとジニアは同時に言った。 「じゃあ明日からの行動は、ノルデンへ行く方法を見つけるための情報収集だな。それでは解散!」 最後にユウが纏めて言った。 リクとカイは部屋を出ていった。 2人がいなくなると、ジニアがたまらず訊いた。 「良いの?まだ詳しい相談してないのに・・」 「仕方が無いさ。リクがあの状況じゃ相談のしようもない」 「そうだよね・・。私のせいかな?」 「何故だ?」 「私がリクにお父さんの事訊いちゃったから・・」 「優しいんだな。けど気にするな。あいつにも色々言えない事があるんだろうからさ」 「そうなのかな?」 「ああ。けど俺達の仲間である以上、いずれは話してもらう。多分、あいつも話すタイミングを計っているんだと思う。頭は切れるからな」 「そうだよね」 「よし、それじゃあ行こうか?」 「え、どこに?」 「夜の塔を見にさ。昼とはまた違う姿が見られるかもしれないだろ?」 「あの2人は?」 「まあ、誘っても多分来ないだろう。それとも、俺と2人は嫌か?」 「え?ううん。むしろ大歓迎」 「よし。じゃあ行くか」 ユウとジニアは外に出た。 一方、リクとカイは・・。 リクもカイも自分のベッドに座っている。 リクは項垂れていた。 「ああ~・・。俺は何という事を言ってしまったんだ~」 「済まんなリク」 「へ?何がだ?」 「俺のセリフを言わせたみたいでよ」 「んあ?」 「あれは明らかに俺のセリフだ。実際、俺の口調に似てたしよ」 「そうだったか・・?」 「ああ。俺の言いたい事を言わせたようで悪かった。お前のおやじさんより、よっぽど俺のクソおやじの方が・・」 「おいおい・・。俺を宥めてくれたお前がそんな感情的になるなよ・・」
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