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「『そんなの当たり前でしょ?』って。そして、『自分の意志で、今、ここにいる』って言ってくれた」
「うう・・。良い子だ・・」
リクは目頭を押さえた。
「ジニアちゃんが元気なのは、そういう事があったからか・・」
「俺も一つ訊いて良いか?」
「何だ?」
「お前達2人は、一体何者なんだ?」
「ギクッ!」
「まあ話したくないならそれでも良いが、俺の推理を聞いてくれるか?」
「ああ・・。良いとも」
「お前達は、おそらく『ラント』と『ラウト』の王子だ」
「何故そう思うんだ?」
「まず一つ目。お前達は、ジニアが元王女と言っても全く驚かなかった」
「ああ~・・。確かにそうだったな」
「だから、お前達も王女と同じくらい位が高い人間だと思ったんだ」
「それで他の理由は?」
「二つ目。イルナに向かう途中の検問の事だ」
「それがどうしたんだ?」
「普通、検問をやっているのがどこの国の人間かなんて、一般人は知らないんじゃないのか?」
「あ・・」
「にも拘わらず、お前は『ラント』と『ラウト』の兵士だと即答してた。しかも、何故二つの国が一緒に検問をやっているかの理由にも精通していた」
「ふむ・・」
「それにお前達はどうしてもあの検問を通りたがらなかった。それは検問をしている奴に見つかるとまずい事になるんじゃないかと思ったからだ。つまり、検問をしている奴はお前達が何者かを知っているという事になる」
「なるほど」
「そこで、お前達の正体について考えられるのは二つだ。一つ目は、お前達が犯罪を犯して指名手配されている人間であるという事。だが、お前達はどこからどう見ても犯罪者には見えない」
「もう一つは?」
「もう一つは、国のえらい人間だという事さ。お前達ぐらいの歳で国のえらい人間と言えば国王の息子、つまり王子しかいない」
「うん・・」
「という訳だ。二つの理由から導きだせる答えは、『王子』。これしか考えられない。違うか、リク?」
「ふ~~~~・・」
リクは立ち止まり、大きなため息を吐いた。
ユウも立ち止まってリクを見た。
「さすがだな、ユウ。その通りだ。俺はラントの王子。そしてカイはラウトの王子だ」
「何故教えてくれなかったんだ?」
「怖かったんだ!お前達が離れてしまうんじゃないかって!!」
「お前達が王子だと分かったら・・か?」
「ああ」
「俺達とは身分が違うから・・か?」
「・・ああ」
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