何が何やら・・ Unanswerable~答えようのない

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「あら、どんな噂があるの?」 「肝が据わっているとか、神経が図太いとか・・」 「それは当たってるわね」 「それから・・」 ユウの目が光った。 「それから・・、あなたが、偽物の王女だとか・・」 「!!」 王女は息を飲んだ。 今までの余裕が一気に吹き飛んでしまったようだ。 ユウは口元に笑みを浮かべて続けた。 「他にもありますよ。『評議会議員の汚職を斡旋した』とか、『新市街の連続婦女誘拐事件もあなたが裏で糸を引いている』とか、『旧市街の顔役と親しくしている』とか、『贅沢三昧で、国民から税を取り立てては私腹を肥やしている』とかね」 王女は首を傾げた。 「・・一体、何を言っているの?」 「詳しい事は今日ここに来るまでに、これに纏めておきました。どうぞ、ご覧ください」 ユウは、一冊のメモ帳を王女の方に放った。 それは王女の足元に落ちた。 王女はメモ帳を拾い、読み始めた。 「な・・何これ・・?」 王女が言った。 照明が薄暗くて良く見えないが、青ざめているに違いない。 「『評議会議員に汚職を斡旋』?冗談じゃ無いわ!あんな奴と碌に話した事も無いのに!大体、あんな脂ぎった顔の気持ち悪い男に近づきたくも無いわ!ああ~、想像しただけで気持ち悪い!死んでくれて本当に清々したわ」 ひどい言われようだ。 今頃あの世で嘆き悲しんでいる事だろう。 「『新市街の連続婦女誘拐事件は、王女がセキュリティの欠点を旧市街の顔役に教えたり、女性達が慕っている貴族の名を語って女性達をおびき寄せたため起こった』?何?この事件・・。私、こんな事件知らない!」 「ん?」 「大体、旧市街の事はおじである伯爵の管轄よ。私は一切関与していないわ。『連続婦女誘拐事件』?確かに、新市街の女性が何人か行方不明になったのは知っているけれど、ただの家出で、旧市街で全員無事保護されたって、おじが・・」 王女はがたがた震え出した。混乱しているようだ。 「おじが・・言っていたけど・・、まさか・・・、嘘だったの・・?」 「ニュースや新聞は見ないのですか?」 「ええ。興味が無いもの・・。そもそも見ている暇も無いし・・」 王女はメモの続きを読み始めた。
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