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これが俺のやり方 Umpire~裁定人
恐ろしい『夢』だった・・のか?
暗殺者である自分が何の抵抗もする事無く、他人の言われるがままに自己紹介をするなど、例え命乞いをするためだとしても絶対に行わない事だ。
いやむしろ、そんな事をするぐらいなら舌を噛んで死んでやるだろう。
まるで魔法にでもかけられたような気分だった。
だからこそ、その魔法をかけた存在が何者なのか興味が湧いた。
だが、何者かを聞いた瞬間、目が覚めた。
目が覚めたのか、それとも意識が戻っただけなのか・・。
ユウは夢を見た事が無かった。
夢を見るはずなど無いのだ。
何故なら、夢を見るほどの眠りにはついていないのだから・・。
ユウは混乱していた。
とにかく落ち着かなければ・・。
背中に汗をかいている。
ものすごく気分が悪い。
ユウはベッドから降りて洗面所へと向かい、顔を洗った。
ようやく汗が引いた。
落ち着きも取り戻したようだ。
自分の顔を鏡で見る。
年齢が分からないとは言え、明らかに若い。
まだ10代半ばぐらいだろうか。
もし自分が普通に暮らしていたら、今、一体どんな人生を送っていたのだろう・・。
ユウはその事を考えかけてやめた。
もう、普通の生活に戻れはしない・・。
個人で暗殺を引き受けるようになったのは、約半年前。
生きるためには食べていかなくてはならない、そんな単純な理由からだった。
そこで、ホームページを開いた。
ホームページには『始末屋』と大きな文字で書かれており、下の方に『御用のある方はこちらへ』とあり、そこにはメールの表示がある。
そのメールの表示を押下すると、待ち合わせの時刻と場所と、依頼人と分かる目印を記入するページに飛ぶ。
依頼はメールでやり取りするのでは無く、直接会って交渉するのだ。
依頼人が特に場所を指定してこなかった場合は、ユウが住んでいる所の近くにある公園を待ち合わせ場所にする。
なおメールのやり取りは、依頼人とユウにしか絶対に見られないような特殊なシステムを使用している。
なので、サイバーパトロールに引っかかる事はありえない。
もちろん、サーバーも色んな場所を経由しているので、ユウが住んでいる場所を特定される事も無い。
あと、待ち合わせの時刻と場所と目印を記入するページには注意書きがあり、その内容とは・・。
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