明かされる『闇』の真実 Utopian~非現実的

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「あ、女の子はいたの?」 「いたよ。俺が知っているのは4人だけだが」 「ふ~ん・・」 「そして、集まった皆の前に1人の男が現れた。そいつが暗殺組織を実質的に運営している男だ」 「1人で?」 「1人でだ。何故だかそいつの顔は、記憶の中に霧がかかったみたいに、ひどくぼやけて思い出せないがな。とにかく、そいつが言ったよ。『この場所では何をしても構わない。誰かを利用しようが、だまし討ちをしようが、殺し合いをしようが好きにして構わない。ただし、生き延びろ。一応カリキュラムみたいな物もあるが、参加しようがしまいが自由だ』とね」 「自由なんだね」 「ああ。学校とは違う。結局、優れた暗殺者になれるか否かは自分しだいだと言う事だ。だが、殺し合いをする時だけは一応条件もあったな」 「条件って?」 「『異次元空間』を使う事さ」 「そう言えば、『異次元空間』って何なの?」 「召喚魔法さ」 「しょ・・召喚魔法?!」 「そうだ。俺達は組織に入った事で、ある力を得た。それが『異次元空間』を召喚する力だ。ただし1人では召喚できない。3人以上でも召喚出来ない。何故なら『異次元空間』は、ある感情のベクトルを食べる事で召喚する事が出来るからだ」 「それは?」 「『相手に対する殺意』だよ。これは、1対1の時が一番高まりやすい。そして、それは1人だけの殺意では足りない。2人の、お互いに対する殺意があって初めて召喚できるんだ。その殺意を食べさせるために、殺意を体のどこかに集中させる。そのためにお互い左手を上げる。もっとも、今の俺達は殺意が無くても召喚できてしまうがね」 「どうして?」 「それだけ、とてつもない力を得た、と言う事だ。でもその代わり、色々な制約も出来てしまった」 「それが、クセノフォンとヤハウェと戦った時に言ってた事?」 「そうだ。まあとにかく男が言うには、『殺し合いをする時だけは異次元空間を使いたまえ。ただし一度入ったら、片方が死ぬまで出られない。相打ちは両方ともアウトだ。相手を先に殺しさえすれば、けがは全回復して元の世界に戻れるという訳だから、勝ち続ければひたすら戦い続ける事が出来る。つまり早く強くなれるという訳だ』って事だ」 「悪魔ね・・」
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