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第2幕ー事件後-
人気の少ない喫茶店。安藤と杉本、それと一人の少女が向かい合っている。
高宮陶子と名乗った少女は、美しい黒髪と青白ささえ感じさせる肌のコントラストが印象的だ。
整った顔立ちではあるけれど、なんともいえない暗い雰囲気が身体にまとわりついている。
それは事件のせいなのか、それとも生来の気質かは分からない。
「で、君の双子のお姉さんを殺した犯人を見つけてほしいと?」
「おい、もうちょっと」
「杉本くん、大丈夫だから」
「それで?」
「はい、お願いします」
「その事件のことは知ってる。確か、警察は自殺か事故のどちらかと発表していたはずだが」
「そうです」
「だからさ、本当は殺人事件で真犯人がいるんだって」
「お前には聞いてない」
「彼の言うとおりです。たぶん、貴子は誰かに殺されたんです」
「たぶん?」
「ごめんなさい
「そのことを警察には?」
「言ってません」
「どうして?」
陶子は答えない。
「安藤」
「分かった。とりあえず、三日間だ。名探偵たる僕に相応しい事件かどうか、
その三日で見極める」
「ありがとう」
「サンキューな」
「それと、これも言っておく。後から悔いると書いて、後悔って読むんだ。
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